肝臓について

肝臓 Q & A

肝臓という言葉についてはよくご存知のことと思いますが、病気のこととなると意外に誤解も多いようです。 肝臓専門医という立場で仕事をしていますと、こんな話をよく聞きます。
*会社の健康診断で肝臓の数字が悪いと言われたが、別に症状はないし体の具合も悪くないので大丈夫だと思う。自分で考えて、しばらく様子を見ることにした。
*検査で肝臓が悪いと言われたが、肝臓病はお酒と関係のある病気だと思うし、自分は一切お酒を飲まないので、何かの間違いだと思う。体調も悪くないし、様子を見ることにした。

*定期健診で、今年も肝機能のところに精密検査のマークがついたが、毎年同じことを言われるので、もう慣れてしまった。体はなんともないし、自分として精密検査はまだ必要ないと思うので、検査は行っていない。
これらに共通するのは「自覚症状がない」ことと、「自己判断」です。
肝臓は昔からよく「沈黙の臓器」と表現されます。急性肝炎*などは別として、病気がかなり進行するまで自分で感じる症状はないのが普通です。ですから、こと肝臓病に関しては、自覚症状の有無で自己判断するのは危険です。
*急性肝炎では一般に何か症状がありますが、風邪が長引いているようにしか思えないこともあります。風邪が長引いているだけのように思えても、そこに「胃が痛い」症状や「食欲不振」がみられる場合は急性肝炎の可能性を考える必要もあります。

*医者に脂肪肝と言われたが、ただの脂肪肝なら放って置いてよいと聞いたことがあるので、特に何もしないでそのままにしてある。

脂肪肝も軽くみてはいけません。最近、脂肪肝でも一部は将来肝硬変や肝臓癌に移行する可能性があることがわかってきました。脂肪肝と診断された場合は、一度は肝臓専門医の診断を受けてみて下さい。

*肝機能が悪いと言われて経過をみているが、数字が下がらずいつも気になっている。「経過をみるしかない」と言われているが不安である。

もう一度改めて専門医の診断を受けてみることで肝機能の悪い原因がわかることがあります。また、治療内容を見直してもらうことにより、下がらなかった数値が下がる場合もありますので、経験を積んだ肝臓専門医に相談してみて下さい。

*以前ウイルス肝炎と言われたが、自覚症状もなく、その時は仕事も忙しかったのでそのままになってしまった。最近そのことを思い出して心配になった。

ウイルス肝炎の中でもB型やC型のウイルスが原因の場合には、10~20年以上かけて知らないうちに肝炎が進行することがあるので、適切な治療により進行を抑えなければなりません。今はウイルス肝炎の治療も大きく進歩して、治癒率も飛躍的に上がって来ていますので、肝臓専門医にご相談下さい。当院では、名古屋地区にお住まいの方の場合は、主に名古屋大学医学部付属病院と協力して診療に当たっています。もちろん他の肝疾患診療連携拠点病院とも連携可能です。